米粉スイーツ&古民家カフェによる日本の原風景継承プロジェクト


2021年8月~2022年3月

概要

当プロジェクトの目的は、水田を中心とする伝統的な農村景観や町家が建ち並ぶ歴史景観などの「日本の原風景」を継承する観点から、「米粉スイーツ」と「古民家カフェ」という米と古民家の現代的な活用に注目し、「米粉スイーツを提供する古民家カフェ」に対する人々の需要を分析することです。このプロジェクトは2021年度の「演習III」の中で展開され、17期生(2021年度3回生)を中心に取り組みました。また、この間のプロジェクトと同様に、今回もCAMPFIREさんのサイトにて、クラウドファンディングにより資金を調達しました。目標額を32万円に設定し、多方面にアピールすることによって、41人もの方々から目標額を超える347,000円のご支援をいただきました。

近年の水田や古民家の減少の背景には、食の欧米化や生活様式の変化があることから、単純に米の消費を増やそうとしたり、古民家を長く使おうとしたりすることによって、日本の原風景を継承するやり方には限界があるように思われます。当活動は、現在需要があるところからこの問題の解決にアプローチしようとする試みであり、米粉スイーツと古民家カフェが人々にどれほど評価されるのかを金銭的に評価することで、その普及の実現可能性を見極めることに貢献します。

本研究では、「米粉スイーツと古民家カフェを組み合わせることで、それらの需要に相乗効果が生まれる」という仮説を置き、その検証に取り組みました。ところが現在滋賀県には、様々な米粉スイーツが販売され、古民家カフェも多くみられるものの、それらを組み合わせた「米粉スイーツを提供する古民家カフェ」はほとんど存在しません。そこでメンバーは、「米粉スイーツを提供する古民家カフェ」を人々に知ってもらうため、米粉スイーツを古民家で楽しむイベントを開くとともに、滋賀県内の米粉スイーツと古民家カフェを紹介するパンフレットを作成し、それを広く配布しました。そしてそのイベント参加者とパンフレット利用者を対象にアンケート調査を行い、「米粉スイーツを提供する古民家カフェ」に対する人々の選好を分析しました。


活動と成果

メンバーはまず、「米粉スイーツを提供する古民家カフェ」を人々に体験してもらうため、2021年11月20日(土)と21日(日)に、滋賀県JR大津駅近くの古民家をリノベーションした建物で、県内で仕入れた米粉スイーツと共に、学生自ら米粉のワッフルを作り、その販売を行うイベント「こめこみんかふぇ」を開きました。米粉ワッフルを求めるお客さんで順番待ちの行列ができるほどイベントは大盛況となり、予定していた150食を上回る175食を売り上げることができました。さらに仕入れた滋賀の米粉スイーツも2日間で完売しました。

さらには、「米粉スイーツを提供する古民家カフェ」を人々にイメージしてもらうことを目的に、滋賀県内で販売されている米粉スイーツと、県内の古民家カフェを紹介するパンフレット「滋賀県版 米粉スイーツ×古民家カフェ」を作成し、そこで紹介する店舗に人々を誘導することにも取り組みました。メンバーは、県内の米粉スイーツ店、古民家カフェ、それぞれ6店舗を取材し、その取材結果をもとに紹介記事を作成しました。パンフレットは、A5サイズ、カラー刷りで、16ページからなり、それを3000部印刷して、観光案内所などを中心に様々な場所で配布しました。

代表と副代表は、2021年11月30日(火)に、KBS京都ラジオの「さらピン!キョウト」に出演し、当活動をアピールしました。

アンケート調査のデータを分析した結果、人々は古民家カフェであれば、普通のカフェと比べて、コーヒーの価格が208円高くなっても良いと考えていること、米粉スイーツ中心のカフェであれば218円高くなっても良いと考えていることが示されました。しかし残念ながら、両者を組み合わせることによる需要の相乗効果は検出されず、「米粉スイーツを提供する古民家カフェ」に対して高くなっても良いと思うコーヒーの価格は、上記二つの金額の合計を下回り、412円と推定されました。これは、人々が「米粉スイーツ」と「古民家カフェ」を同じカフェの「和」の属性として一括りに扱っている可能性を示唆します。とはいえ、推定された追加的な支払意思額は極めて大きなものであり、「米粉スイーツを提供する古民家カフェ」に対して大きな需要が存在することは間違いありません。

報告書の抜粋(分析部分)は以下よりダウンロードいただけます。

また、本研究の成果は、本学経済学部の学生論集にも掲載される予定です。

  • 深尾咲紀・金珠花・平田茉美・上野香奈子・吉田拓人・青木奨和・足立貴佳楽・石塚日奈子・加地咲穂・小西祐香・髙安結衣・竹原智哉・田中文崇・谷口萌・鳥居由唯乃・中川響史・平田謙介・廣田梨乃・本田航士朗・持永麗蘭・山内静恵・山川ひより(2022)「米と古民家の現代的な活用による日本の原風景継承の可能性ー米粉スイーツと古民家カフェに関する消費者選好分析ー(仮)」『立命館大学 学生論集・3回生学生論集 合併号』第73集・第23集、立命館大学経済学会学生委員会

なお、当活動は専用のInstagramアカウントとTikTokアカウントでも随時報告されました。


発表

  • 滋賀県庁 記者発表(2021年11月4日)

メディア出演


受賞

  • +R学部奨学金(執行部メンバー5人)
  • 立命館大学教員のグッドプラクティス(寺脇拓)