フードマイレージによる地産地消促進プロジェクト

2015年4月~2016年3月

概要

本プロジェクトの目的は、食料輸送に伴う環境負荷の程度を示す指標となる「フードマイレージ」の考え方を広く社会に伝えるとともに、その普及によって人々の地場農産物に対する選好や選択がどのように変わり、そしてそれが地産地消を促進させるカギになりうるのかどうかを定量的に明らかにすることです。当ゼミ12期生(2015年度3回生)が中心となってこのプロジェクトを立ち上げ、彼らの努力により、見事「学びのコミュニティ集団形成助成金」の助成対象活動の一つとして採択されました(助成金額:30万円)。当ゼミの活動としては制度開始以来4年連続の採択です。メンバーは11期生9人、12期生18人、13期生18人の合計45名から構成されます。


活動と成果

メンバーはまず、地場農産物のフードマイレージがほぼゼロであることを視覚的に伝える「フードマイレージゼロラベル」をデザインし、そのラベルシールを約8000枚用意するとともに、草津の地野菜「愛彩菜(わさび菜)」を使ったカフェメニューを考案し、そのレシピ集「愛彩菜でカフェメニュー クッキングレシピ集」を4000部作製しました。そしてJA草津市さんの協力を受け、作成したラベルとレシピ集を活用しながら、2015年の11月7日(土)、8日(日)に、「草津あおばな館」にて「フードマイレージによる地産地消促進イベント」を実施しました。そこでは「フードマイレージゼロラベル」を草津市産の野菜に貼って販売して頂くとともに、アンケート調査を実施し、その協力者に愛彩菜のレシピ集を配布しました。また、そのレシピ集に掲載されている「愛彩菜マフィン」の試食会も行いました。アンケート調査はそのイベントの一週間前にも同じ場所で行われ、「フードマイレージ」に関する情報を提供しない場合のデータも収集されました。

愛彩菜を使ったカフェメニューのレシピは、クックパッドでもご覧いただけます。

フードマイレージのイベント前とイベント中に得たアンケート調査データを統計学的に分析した結果、そのイベントの実施によって、人々が他府県産の青ネギを基準に滋賀県産青ネギに対して追加的に支払ってもよいと思う金額が約15%上昇することが示されました。たとえば、京都府産を基準に考えれば、イベント前人々は滋賀県産青ネギに対して追加的に62.8円支払ってもよいと考えていたのに対して、イベント中ではその金額は72.3円にまで上昇しました。イベント前とイベント中とで回答者属性にほとんど差が見られなかったことから、この支払意志額の上昇は当ゼミが実施したイベントの効果としてみることができます。この結果は、フードマイレージをキーワードに地産地消の環境面での貢献を広く伝えることが、そこでの地産地消の促進に大きく貢献することを実証する極めて有益な知見だと思われます。

この研究の成果は、本学経済学部の学生論集に掲載されました。

  • 寺脇ゼミ有志団体「フードマイレージによる地産地消促進プロジェクト」(2016)「地産地消の環境保全的側面に対する認識は地場農産物の消費拡大につながるか?」『立命館大学 学生論集・3回生学生論集 合併号』第67集・第17集、立命館大学経済学会学生委員会

さらに、学びのコミュニティ集団形成助成金の成果報告会にて、ポスター報告を行いました。


発表

  • 学びのコミュニティ集団形成助成金成果報告会(2016年10月17日)
  • 草津市政記者クラブ(2016年2月26日)

メディア出演