ヨシストローによる#SDGs推進プロジェクト

2019年8月~継続中

概要

当プロジェクトの目的は、びわ湖のヨシ(葦)を使ってストローを作り、それを人々に実際に使ってもらった上で、そのヨシストローに対して人々が支払ってもよいと思う金額(支払意思額)を計測することです。当学部のカリキュラム改革を受けて、2019年度は、これまで自主活動として行ってきたプロジェクトを正課の「演習III」の中で展開しました。新たな制度のもとで初めて取り組むプロジェクトということもあり、これまでとは異なって、この活動には15期生(2019年度3回生)のみで取り組みました。また、前回の「近江の彩り べんがら色彩スイーツ&ミールプロジェクト」同様に、FAAVOしがさんのサイトにて、クラウドファンディングにより資金を調達しました。目標額を30万円に設定し、多方面にアピールすることによって、49人もの方々から目標額を超える335,000円のご支援を受けることができました。加えて、これも前回プロジェクト同様に、当活動は近江八幡市の公認(第6号)を受けて実施されました。

当活動は、2019年度春学期の「演習II」の中で、紙ストローに対する消費者の選好を分析した経験とその知見に基づきます。そこでは、人々は紙ストローに対して1本あたり13円支払ってもよいと考えていることを示しましたが、回答者からは、その強度の低さや口当たりの問題を指摘する声も多く上がりました。そこで今回、冬に刈り取られるびわ湖のヨシに着目し、それを材料にストローを作ることを考え、当プロジェクトを立ち上げました。ヨシストローは紙ストローよりも強度が高く、口当たりについても問題がないものと思われます。そして何よりも、ヨシをストローとして活用することは、プラスチックストローの減少を通じて海洋生態系の保全に貢献するだけでなく、ヨシの生育を適切に管理することでびわ湖の環境保全にもつながります。それらは、近年その注目度が日増しに高まっているSDGs(持続可能な開発目標)と整合するものだといえるでしょう。

なお、誤解されやすいのですが、当活動の目的はヨシストローの普及ではなく、あくまでそのヨシストローに対する需要を測るところにあります。近江八幡で400年以上ヨシの卸売業を営まれている西川嘉右衛門商店さんの話では、ヨシストローの商品化に向けて多くの企業や団体から問い合わせがあるそうです。しかしながら、その実現にまで至ったケースはほとんどありません。それは、その生産に大きな費用が掛かることと、消費者がヨシストローにいくらまで出せるのか、つまりその支払意思額がわからないところにあるものと思われます。費用はその生産者自身がもつ情報ですが、需要側の情報はおそらくどこを探してもありません。当活動は、ヨシストローを作り、実際に使ってもらうことで、そのヨシストローに対する支払意思額を適切に計測することを目指します。得られた情報は、ヨシストローの商品化を考える生産者の意思決定を助けることになるでしょう。


活動と成果

メンバーはまず、上述の西川嘉右衛門商店さんを訪れ、そこで頂いたヨシを使って、ヨシストローを調査用に400 本、検査用に50 本、計450 本製作しました。さらに、滋賀県琵琶湖環境部の皆様にご助言を頂きながら、そのヨシストローを紹介するパンフレット「ヨシストローで#SDGs」を2000 冊印刷いたしました。これらを使って、近江八幡市と大津市のカフェや店舗でアンケート調査を行い、そのデータを統計学的に分析しました。

分析の結果、ヨシストローに対する支払意思額は1 本あたり48 円、紙ストローについては9 円と推定され、ヨシストローに対する極めて高い需要が示されました。また、定性的な分析からは、ヨシストローの強度や口当たりは、紙ストローはもちろん、プラスチックストローのそれらよりも高く評価される傾向が見出されました。さらに、ヨシストローの強度を高く評価する人ほど、そして紙ストローの強度に不満を持つ人ほど、ヨシストローに対する支払意思額が大きくなる傾向も導かれました。本研究は、紙ストローがもつ欠点の大きさと、ヨシストローが広く普及する可能性を定量的に示したところに大きな社会的意義があります。ここで得られた知見が、ヨシストローの商品化を考える地元企業の方々を後押しし、その普及に資するものとなれば嬉しく思います。

報告書の抜粋(分析部分)は以下よりダウンロードいただけます。

また、本研究の成果は、本学経済学部の学生論集にも掲載される予定です。

  • 寺脇拓ゼミ「びわ湖のヨシから作られるストローに対する支払意思額の計測-脱プラスチックに向けたヨシストローの普及可能性-」『立命館大学 学生論集・3回生学生論集 合併号』第71集・第21集、立命館大学経済学会学生委員会

メディア出演