リユースによるヨシストロー社会実装化促進プロジェクト


2022年8月~2023年3月

概要

当プロジェクトの目的は、2019年度に当ゼミが製品化したびわ湖のヨシを原料とする環境配慮型ストロー「ヨシストロー」の社会実装に向けて、リユースしたヨシストローに対する社会の受容性を明らかにすることです。このプロジェクトは「ヨシストローによる#SDGs推進プロジェクト」を発展させるものであり、2022年度の「演習III」の中で18期生(2022年度3回生)を中心に取り組みました。また、この間のプロジェクトと同様に、今回もCAMPFIREさんのサイトにて、クラウドファンディングにより資金を調達しました。目標額を20万円に設定し、多方面にアピールすることによって、46人もの方々から目標額を超える234,000円のご支援をいただきました。

2019年度当時、ヨシストローに対する支払意思額は1 本あたり48 円と計測され、一方でその製造にかかる費用は427円にも上ることから、カフェなどの店舗でヨシストローを導入することは難しいものと思われました。しかしながら、水辺に生育するヨシはもともと水に強く、枯れて木質化した素材は複数回の煮沸消毒に耐えられることから、リユースしてもその品質が変わらず、支払意思額も大きく低下しないことが期待されます。もしそうであるならば、リユースによってヨシストロー1本当たりの価値を高めることが可能となり、店舗導入に向けてその活路が開けることになります。当活動は、ヨシストローの社会実装を実現するための具体的な方法とその展望を根拠を持って提示するものであり、ヨシストローの今後の普及可能性を見極めることに貢献します。


活動と成果

リユースしたヨシストローに対する社会の受容性を分析するためには、まずは人々に実際にそれを手に取って使ってもらう必要があります。そこでメンバーは、滋賀県近江八幡市でヨシの卸売業を営んでおられる西川嘉右衛門商店様より頂いた「大神ヨシ」を原料として、未使用のヨシストローと10回の煮沸消毒を経たリユース・ヨシストローをそれぞれ600本、合計で1200本製作しました。そしてそれらを使って、滋賀県草津市や近江八幡市のカフェ、並びに東京駅近くにある滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」にて、人々にヨシストローを使ってもらいながら、アンケート調査を実施しました。

調査にあたり、メンバーはまず、ヨシストローが普及することの社会的意義やその品質、安全性を伝えるパンフレット「リユースヨシストローでSDGs・MLGs」(フルカラー、A4巻き三つ折り)を作成し、調査の際に配布しました。加えて草津市と東京都での調査では、ポスターと動画を使ってヨシストローの社会実装化の意義を伝えることにも取り組みました。イナズマロックフェスに合わせて実施した草津市の調査では、人々の関心を集めるために、滋賀県産のアドベリーを使ったクラフトコーラのレシピ開発を行い、Cafe REED様の協力を得てその販売も行いました。

アンケート調査のデータを分析した結果、まず「におい」「強度」「口当たり」の観点から、ヨシストローはリユースしてもその品質が低下しないことが示されました。しかしながら、ヨシストローに対して人々が支払っても良いと思う金額(支払意思額)を調べたところ、未使用品については35円であったものが、リユース品については27円となり、リユースによってその価値は20%程度低下することが導かれました。加えて、リユースしたヨシストローに対する支払意思額は、他人が一度使用したことに対する抵抗感の大きさに規定されることが示され、その抵抗感を取り除く努力が必要であると提案されました。リユースすることでヨシストローの価値は低下する結果となりましたが、その低下率は決して大きくなく、またその衛生面や安全性を広く伝えることで、リユース品に対する支払意思額の上昇が見込まれることから、本研究の結果は、リユースによるヨシストローの社会実装化を十分期待させるものだと判断されます。

報告書の抜粋(分析部分)は以下よりダウンロードいただけます。

なお、当活動は専用のTwitterアカウントでも随時報告されました。


メディア出演


受賞

  • +R学部奨学金(執行部メンバー3人)
  • 立命館大学教員のグッドプラクティス(寺脇拓)