20期生の三回生論文集が完成いたしました。今年度の「演習II」においては、古着、規格外野菜、琵琶湖の俯瞰景観、八幡堀の歴史景観を対象として、それらの経済評価研究に取り組みました。
- 古着に対する支払意思額と環境情報提供効果
- 規格外野菜の外観属性に関する消費者選好分析
- ダイニングレストランにおける琵琶湖の俯瞰景観の価値評価
- 歴史景観を楽しむカフェがもたらす観光便益
得られた知見の要約を以下の通り順にご紹介いたします。
- 古着班 ファストファッションを中心とするアパレル産業が引き起こす環境負荷の大きさを人々に伝えることで、古着に対する支払意思額は約10.7%上昇した。またその情報提供によって人々が古着利用の社会的意義をより強く認識する傾向も観察され、こうした環境情報提供が人々の古着に対する認識や評価、行動を変え、その市場の拡大に貢献することが結論付けられた。
規格外野菜班 変形したトマト、キズがあるトマト、色むらがあるトマト(いずれも中玉、5個入り)に対して人々が最低限割り引いてほしいと思う金額(受入補償額)は、順に24円(基準価格の7.3%)、77円(基準価格の23.6%)、88円(基準価格の27.1%)と計測された。規格外の属性によって受入補償額は大きく変わることとなり、その属性に合わせた価格設定が必要だと主張される。
琵琶湖景観班 びわ湖大津プリンスホテルの37階に位置する「レイクビューダイニング ビオナ」から望む琵琶湖の俯瞰景観は、そこで食事を楽しむ人々に年間約1億8360万円の便益を与えていることが示された。現在琵琶湖周辺の建築物の高さには規制がかけられているが、こうした俯瞰景観の活用を視野に入れ、適切なゾーニングを行いながら部分的にその規制を緩めることの必要性が提案される。
歴史景観班 八幡堀の歴史景観を楽しみながら飲食ができるカフェ「ほりかふぇ」は、その利用者に年間約2780万円、一人当たりでみて約893円の便益をもたらしていることが示された。この一人当たりの便益は近江八幡市への日帰りの来訪者が市内で支出する娯楽サービス費を上回るほどの額であり、こうした歴史景観を楽しむカフェはその歴史観光地の観光振興に大きく貢献するものだと主張される。