2023年度の三回生論文集が完成しました

19期生の三回生論文集が完成いたしました。今年度の「演習II」においては、サステナブルホテル、食品添加物の不使用表示、滋賀の伝統産物「政所茶」、廃校カフェを対象として、それらの経済評価研究に取り組みました。

  • サステナブルホテルが取り組む環境保全、地域発展、文化継承、人権配慮の価値評価
  • 食品添加物の「無添加」表示に対する消費者評価
  • 伝統産物の継承に向けた産地情報の必要性―政所茶の事例―
  • 廃校のカフェ活用が生み出す観光便益の計測

得られた知見の要約を以下の通り順にご紹介いたします。

  • サステナブルホテル班 ホテルの「持続可能性」に配慮した取り組みとして、環境配慮素材から作られたアメニティの使用、地元食材を中心とした朝食の提供、歴史的建造物の活用、フェアトレード商品の使用の4つの取り組みの価値を金銭的に計測したところ、人々は宿泊料金として、地元食材を積極的に使用するホテルに対して2563円、フェアトレード商品の使用に取り組むホテルに対して2248円、追加的に支払ってもよいと考えていることが示された。他の取り組みは0円と有意差がなかったり、マイナスに評価されたりしたことから、サステナブルホテルの普及に向けては、地域の発展や人権への配慮を重視すべきだと提案される。
  • 食品添加物不使用表示班 「無添加」と表示されたストロベリーアイスクリーム(ミニカップ・110ml)と「着色料無添加」と表示された同じ食品に対する支払意思額の平均値は、それぞれ274円、262円となり、着色料が無添加であることを具体的に示したアイスクリームに対する支払意思額は、そうでないものよりも約4.3%小さくなるという結果が得られた。この結果は、人々は「無添加」と表示された食品を全く添加物が含まれていない食品だと誤認し、その食品を過大評価する傾向を示しており、より厳格な表示が求められることになった新たな「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の意義を明確にするものだといえる。
  • 伝統産物・政所茶班 滋賀県産の番茶を基準に、滋賀県東近江市の伝統産物「政所茶」(平番茶)に対して追加的に支払っても良いと思う金額を計測したところ、何も情報を与えない状態ではその支払意思額は250円(基準価格300円の83.4%)であったが、その歴史文化的、環境保全的魅力を情報として伝えると、その金額は321円(基準価格の107.1%)に上昇した。さらに政所茶の生産条件の悪さやその減産傾向を追加的な情報として与えると、支払意思額は383円(基準価格の127.7%)にまで上昇し、最終的な上昇率は41.3%となった。これらの結果から、政所茶の継承に向けてはその伝統産物としての魅力と継承の難しさを広く伝えることの重要性が示唆される。
  • 廃校カフェ班 現在「パンドーゾカフェ」が店舗を構える京都府京丹波町の「旧質美小学校」を事例に、その廃校カフェに対するレクリエーション需要関数を推定し、その観光便益を計算した結果、総便益は年間約3278万円に上ることが示された。一方で、パンドーゾカフェがなかったとする仮想状況においては、その観光便益は年間約1127万円にまで減少し、旧質美小学校をカフェとして活用することで生み出される便益は、その差額から約2150万円と計測された。この金額は現状の便益の約65.6%を占めており、廃校の観光資源的利用を考える地域では、それをカフェに展開する取り組みを積極的に進めるべきだと提案される。

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